こんにちは!NICEROOMの栂尾です。心斎橋で夜のお仕事をされている方のお部屋探しを担当していると、「同じ店の子と一緒に住みたいんですけど、できますか」というご相談を、思っている以上によくいただきます。
一人暮らしの家賃を二人で分けられたら楽になりますし、深夜に一人で帰るより、誰かがいる部屋に帰れるほうが心強いという声もよく聞きます。ただ、実際に話を伺っていくと「審査に通るのか」「契約は誰の名前でするのか」「もし片方が先に辞めたらどうなるのか」というところまで考えている方は、意外と多くありません。この記事では、夜職同士のルームシェアを実際に進めるときに押さえておきたい、契約の形・審査での見られ方・お金の分け方・別れるときの取り決めまでを、実務の流れに沿って整理していきます。
ルームシェアの契約の形
「ルームシェアをする」といっても、賃貸契約の結び方は大きく分けて2つです。どれを選ぶかによって、契約者としての責任の重さも、片方が退去したときの影響も変わってくるので、まずはここを整理しておきます。
1つ目は「連名契約」です。二人とも契約者として契約書に名前が並ぶ形で、家賃の支払い義務も基本的に二人が連帯して負います。2つ目は「代表者契約+同居人」で、契約者は一人だけ、もう一人は申込書に同居人として書く形です。実際は、こちらの形になることのほうが多いです。「二人入居可」の物件でも、たいていはこの代表者契約になります。どれが良い・悪いというよりは、二人の状況に合わせて選ぶものだと考えていただくとわかりやすいと思います。
| 契約の形 | 契約者は誰か | 家賃の責任 | 片方が退去したとき | 向いている二人 |
|---|---|---|---|---|
| 連名契約 | 二人とも契約者になる | 二人が連帯して負う。契約書上、どちらか一方にまとめて請求が来ることもある | 重い 契約自体は二人の名前のままなので、抜けた側も含めて責任が残りやすい | 収入や勤続が安定していて、対等な立場で長く住むつもりの二人 |
| 代表者契約+同居人登録 | 代表者一人が契約者、もう一人は同居人として届け出る | 契約上は代表者が支払い義務を負う | 抜ける人による 同居人が抜ける分には契約は変わらないが、代表者が抜けるなら名義の話になる | 収入差や、書類の出しやすさに差がある二人 |
「ルームシェア可」と「二人入居可」は同じではない
募集条件を見るときに気をつけたいのが、「ルームシェア可」と「二人入居可」は必ずしも同じ意味ではないという点です。「二人入居可」は、もともとカップルでの入居を想定して設定されていることも多く、その場合、友人同士のルームシェアとして申し込むと、大家さん側の受け取り方が変わることがあります。逆に「ルームシェア可」と明記されている物件であれば、同性・異性を問わず友人同士での同居を前提に案内が進みやすいので、条件文の言葉の違いは気にしていただいたほうがよいところです。
物件情報に「二人入居可」とだけ書かれている場合は、友人同士のルームシェアとして申し込めるかどうかを、問い合わせの段階で確認しておくと話が早いです。同じ「二人で住める」という条件でも、想定されている入居者像は物件によって違います。
二人とも夜職の場合、審査はどう見られるか
「二人とも夜のお仕事だと、審査がより厳しくなるのでは」という不安をよく聞きますが、実際のところは契約形態と、利用する保証会社のルール次第というのが正直なところです。連名契約であれば二人分の収入を合算して見てもらえる保証会社もありますし、代表者契約であれば代表者一人の収入・書類が中心に見られる形になります。「二人だから通りにくい」と一律に決まっているわけではなく、逆に「二人だから通りやすい」と単純に言えるものでもありません。
保証会社によって、同居人を審査対象に含めるところと、契約者本人の審査だけで完結させるところがあり、この違いが実務上はかなり大きく響いてきます。だからこそ、物件を決める前の段階で、どの保証会社を使う想定なのかを不動産屋に確認しておくことをおすすめしています。
「友達と二人で住みたい」と相談を受けたら、私たちがまずやるのは、気になる物件の管理会社に電話して「友人同士のルームシェアでも大丈夫か」を聞くことです。ネットで「二人入居可」になっていても、聞いてみると「カップルなら大丈夫だけど、友達同士はちょっと」と言われることがけっこうあります。内見に行ってから断られるともったいないので、ここは先に確認しておきます。
審査での見られ方が契約形態によって変わるとなると、次に出てくるのは「じゃあ、どっちの名前で契約するのがいいのか」という話です。ここは上下関係や「誰が仕切るか」で決めるものではなく、実務的な条件で決めていただくのがおすすめです。
契約者を誰にするかの決め方
契約者候補を絞り込むときは、次のような順番で考えていただくと、感情的な話にならずに済みます。
最後のステップをあえて「話し合って決める」としているのは、契約者になるかどうかは責任の重さに直結するからです。どちらが偉い・立場が上という話ではなく、どちらが書類を出しやすいか、どちらが今後も長く続けやすいかという、現実的な条件で決めていただくのが結局はいちばん揉めにくい方法です。
メリットとデメリット、正直なところ
ルームシェアには当然、良い面と気をつけたい面の両方があります。良い面だけをお伝えするのは無責任だと思っているので、ここは正直に両方並べておきます。
- 家賃や初期費用の負担を二人で分けられる
- 深夜の帰宅時に、誰かがいる部屋に帰れる安心感がある
- 生活リズムが近いと、生活音などで気を使う場面が減りやすい
- 体調を崩したときやトラブルのときに、近くに相談できる相手がいる
- 生活音や来客のタイミングが合わないとストレスになりやすい
- 片方の転勤・退店・独立などで、住居の前提が急に崩れることがある
- 人間関係がこじれたときに、住む場所まで一緒に失うリスクがある
- 契約やお金の話を先延ばしにすると、あとから話しにくくなる
同じ店の同僚だからこその注意点
同じお店の同僚とルームシェアをする場合、職場の人間関係と住まいが直接つながってしまう点は意識しておいていただきたいところです。異動や退店が重なると、収入や出勤時間の前提が一気に変わり、住まいの分担バランスも見直しが必要になります。とはいえ、これは「危ないからやめたほうがいい」という話ではなく、住み始める前に「もし片方の状況が変わったらどうするか」を一度話しておけば、それだけでかなり対応しやすくなる話でもあります。次の見出しでお金の分け方を、その次で実際の決め事を具体的に見ていきます。
家賃・初期費用・毎月の費用の分け方
費用の分け方でよく使われているのは、「家賃を単純に折半する」「部屋の広さの比率で分ける」「契約者側が少し多めに負担する」の3パターンです。どれが正解というものではなく、二人の合意で決めていただければ問題ありません。ただ、費用の種類ごとに「もめやすいポイント」があるので、先にまとめて把握しておくと安心です。
| 費用の種類 | よくある分け方 | もめやすい点 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|---|
| 家賃 | 折半、部屋の広さ比、契約者が多めに負担 | 出勤日数や在宅時間の違いから、感覚のずれが出ることがある | 分担の基準と、途中で見直したいときの相談方法 |
| 敷金・礼金 | 契約者が一旦立て替えて、あとで折半 | 敷金の返還は契約者の口座に戻るため、同居人への返し方があいまいになりやすい | 敷金が戻ってきたときの分け方 |
| 仲介手数料など初期費用 | 折半、または契約者が多めに負担 | 支払うタイミングが人によって違うと、立て替えの感覚がずれる | 支払いのタイミングと立て替え分の精算方法 |
| 光熱費 | 折半が一般的 | 名義をどちらにするかで、解約や住所変更の手続きが片方に偏る | 名義を誰にするかと、精算のタイミング |
| ネット回線 | 折半 | 契約者以外は解約の手続きができないため、片方が抜けるときに止まりやすい | 契約者を誰にするかと、解約時の流れ |
| 家具・家電 | 共用のものは折半、個人で使うものは購入者負担 | 退去時に「これは誰のものか」があいまいなまま揉めることがある | 共用品のリストと、退去時にどちらが引き取るか |
費用の分担を数字のイメージでも見ておきたいという方向けに、部屋の広さで按分する場合の一例を挙げておきます。あくまで一例であって、実際の割合は二人の合意で自由に決めていただくものです。
※上記の割合はあくまで一例です。実際の分担は、部屋の使い方や収入のバランスに応じて二人で話し合って決めていただくことになります。
「二人で住むなら、どっちの名前で契約するのがいいか」は、お二人の状況を聞かせてもらえれば具体的にお答えできます。まだ相手に話していない段階の「ひとり相談」でも大丈夫です。
片方が先に出るときのために、住む前に決めておくこと
ルームシェアで実際にトラブルになりやすいのは、住み始めたあとより「片方が先に出ていく」となったときです。口約束のまま住み始めてしまうと、いざそのタイミングになってから話がこじれることが少なくありません。住む前の段階で、次のことは二人で決めておくことをおすすめしています。
- 退去の意思をいつまでに、誰に伝えるか言い出すタイミングが遅れるほど、残る側の準備期間が短くなります
- 契約者が抜ける場合と同居人が抜ける場合を分けて考えるどちらが抜けるかで、契約上の影響がまったく違います
- 残った側が一人分の家賃を現実的に払い続けられるか、事前に確認しておく
- 敷金が戻ってきたときの分け方契約者の口座に戻る性質のお金なので、先に合意が要ります
- 名義変更や更新の手続きが必要になったときの窓口(管理会社・不動産屋)を確認しておく
- 光熱費・ネット回線の名義と、解約する順番を決めておく
- 共用の家具・家電を、どちらが引き取るか決めておく
- 片方が出たあと、残る側がそのまま住み続けるのか、引っ越すのかを話しておく
これらは「最悪の事態を想定して脅す」ためのリストではなく、決めておきさえすれば揉めずに済む項目です。むしろ、最初にこれだけ話しておけば、途中の関係が良好なままであれば取り決めを使う機会すらないまま暮らし続けられる、というくらいの位置づけで考えていただければと思います。
片方が抜けたあとの名義変更は、管理会社によっては新規契約と同じ扱いになることがあります。名義を残った人に変えるだけのつもりが、改めて審査や保証料が発生する場合もあるので、「誰を契約者にするか」は最初の段階で真面目に決めておいていただきたいところです。
生活時間がずれても暮らしやすい間取り
夜のお仕事同士のルームシェアでは、出勤・帰宅の時間が完全には一致しないことも珍しくありません。片方が帰宅する時間に、もう片方はすでに眠っているということもあるため、間取り選びでは個室がどのくらいはっきり分かれているかが、暮らしやすさに直結します。
| 間取りタイプ | 個室の分かれ方 | 生活時間のずれへの強さ | 家賃感の傾向 |
|---|---|---|---|
| 1LDK | 個室は1部屋のみ。もう一方はリビングを共用スペースとして使う形になりやすい | △ 中程度 | 中 |
| 2K | 個室が2部屋。ただし2部屋が引き戸やふすまでつながっている「続き間」の物件もある | △ 続き間なら弱い | 抑えめ |
| 2DK | 個室2部屋に加えてダイニングキッチンがある。部屋同士が壁で分かれているかは物件次第 | ○ 壁で分かれていれば強い | 中〜やや高め |
| 2LDK | 個室2部屋がしっかり分かれ、リビングダイニングにも余裕がある | ◎ とても強い | 高め |
| ワンルーム広め | 壁で区切られた個室はなく、家具などで緩やかに仕切る形になりやすい | × 弱い | 抑えめ |
個室が分かれているほど、生活時間のずれには強くなりますが、その分だけ家賃感も上がっていく傾向があります。どこまでの間取りにするかは、家賃の負担と、実際にどれくらい生活時間がずれそうかを照らし合わせて決めていただくのがおすすめです。寝室の位置と、玄関・水回りまでの動線も、内見のときにあわせて確認しておくと安心です。
二人で内見に来てもらうと、たいていその場で「どっちの部屋にする?」が始まります。帰りが遅いほうが玄関に近い部屋、先に寝るほうが奥の部屋にしておくと、帰ってきたときの音で起こしにくいです。図面だと同じ6畳でも、実際に立つと玄関や洗面所の音がどれくらい聞こえるかが全然違うので、部屋割りは現地で決めるのがおすすめです。
「ルームシェア不可」の物件に黙って二人で住むとどうなるか
物件によっては、そもそもルームシェア自体を認めていないところもあります。「気に入った部屋だったから、同居人のことは黙って契約してしまう」というケースもゼロではありませんが、これは契約違反にあたりうる行為です。見つかる経路としては、近隣の方からの申告、管理会社の定期的な巡回、郵便受けに複数人分の郵便物が届いていることなど、一般的にいくつかのパターンがあります。
無断での同居が発覚した場合の対応は物件や管理会社によって差がありますが、契約解除や退去を求められる可能性がある話だと理解しておいていただいたほうがよいところです。このあたりの詳しい内容は、以前まとめた半同棲の記事でも取り上げていますので、気になる方はあわせてご覧ください。
「ルームシェア不可」の物件で二人暮らしをしたい場合は、無理に黙って住むのではなく、最初から「ルームシェア可」や「二人入居可」の物件を選んでいただくのが結局いちばん安心です。気になる物件があれば、条件として同居できるかどうかを、契約前に確認しておきましょう。
よくある質問
- 二人とも夜職ですが、ルームシェアで審査に通りますか?
-
「二人とも夜のお仕事だから通らない」と一律に決まっているわけではありません。審査の通り方は契約形態や、利用する保証会社のルールによって変わってきます。連名契約にするのか、代表者契約に同居人として登録するのかも含めて、事前に不動産屋へ相談していただくのが確実です。
- 友人が途中で辞めて出ていったら、残った私が全部払うことになりますか?
-
契約の形によって変わります。連名契約の場合は、契約上は二人とも家賃の支払い義務を負ったままになりやすく、代表者契約+同居人登録の場合は、同居人が抜けても契約自体は代表者名義のまま変わらないのが一般的です。どちらの形でも、途中で片方が抜けるときにどうするかは、住み始める前に二人で決めておくことをおすすめします。
- 同居人は申込書に書かないとダメですか?
-
書かずに二人で住み始めると、契約上は無断同居の扱いになりうる状態です。あとから発覚して関係がこじれるよりは、最初から同居人として正直に届け出ておくほうが、長い目で見て安心です。無断同居のリスクについては、半同棲についてまとめた記事でも詳しく触れています。
- 家賃を折半にしたいのですが、契約書もそう書けますか?
-
賃貸借契約書は大家さん・管理会社と契約者との間の取り決めなので、「二人で折半する」という内容そのものが契約書に書かれることは一般的ではありません。折半にしたい場合は、契約書とは別に、二人の間で分担のルールをメモや覚え書きとして残しておく形がおすすめです。
- 同じ店の同僚とシェアして、片方が店を移ったらどうなりますか?
-
契約自体がすぐに影響を受けるわけではなく、そのまま住み続けられるケースがほとんどです。ただ、お店が変われば出勤時間や収入のバランスが変わることもあるため、家賃の分担や生活リズムを見直すタイミングとして、あらためて二人で話し合っておくと安心です。
ルームシェア可の物件は数が限られるので、条件が固まる前に「こういう二人でこのくらいの家賃」とだけ送っておいてもらえると、候補を先に探し始められます。
まとめ
夜職の同僚や友人とのルームシェアは、契約の形を正しく選べば十分に現実的な選択肢です。ポイントは「通るかどうか」を心配しすぎることよりも、次の3点を先に決めておくことだと思います。1つ目は連名契約と代表者契約のどちらにするか、2つ目は契約者を誰にするか、3つ目は片方が先に出るときの取り決めです。この3つさえ住む前に話し合っておければ、あとから揉める場面はかなり減らせるはずです。
二人で内見に来ていただくのが一番早いですが、出勤時間が合わないようであれば、別々の日でも構いません。LINEで日程だけ先に押さえておきましょう。


