NICEROOMの栂尾です。日々、心斎橋・長堀橋エリアを中心にお部屋探しのお手伝いをしています。
内見は1件、実質10〜15分しかない
お客様が1部屋にかけられる時間は、だいたい10〜15分です。
複数物件を回るスケジュールを組んでいれば、なおさら短くなります。
その短い時間の中で、玄関に入った瞬間の第一印象に引っ張られて「なんとなく良さそう」で決めてしまう方を、正直、たくさん見てきました。
あとになって「洗濯機が入らなかった」「隣の音が筒抜けだった」と連絡をもらうこともあります。見るべきところを見ていれば防げたはずのことばかりです。
ネットの記事にも「チェックリスト付き」を謳うものはたくさんあります。ただ、実際に読んでみると、ただの箇条書きだったり、チェックを付けても保存されずに閉じたら消えてしまうものがほとんどでした。それでは内見の現場で結局役に立ちません。
だったら、本当に現場で使えるものを作ろうと思って、このページを組みました。項目を並べるだけでなく、なぜそこを見るべきなのか、見落とすと具体的に何が起きるのかまで、できる限り書いています。
この記事は、そういう見落としをなくすために作った、実際にタップしながら使えるチェックリストです。使い方は3つだけです。
- 内見当日、このページをスマホで開く(先にブックマークかホーム画面に追加しておくと現地で迷いません)
- その場で項目にチェックを入れる。チェックはブラウザに保存されるので、一度閉じてもう一度開いても消えません
- 別の物件を見るときは、記事末尾のリセットボタンでチェックを白紙に戻してから使ってください
スマホを見ながらの内見が苦手な方は、このページをそのまま印刷していただいても大丈夫です。紙のチェックリストとして使えるように、表の形式で作っています。
持ち物
ライトや方位磁針、カメラ、メモは、今どきはスマホ1台に集約できます。荷物を増やす必要はありません。必ず持っていくべきものは、この4点です。
| 持ち物 | 理由 |
|---|---|
| スマホ | カメラ・ライト・方位磁針・メモ、このチェックリストの表示まで1台で完結します |
| メジャー(3m以上・金属製) | 布のメジャーはたわんで正確な採寸になりません。ただし全部を測る必要はなく、使うのは後述の3か所だけです |
| 間取り図とペン | 気になった箇所をその場で書き込むと、あとで見返したときに記憶より正確です |
| 家具・家電のサイズメモ | 冷蔵庫・洗濯機の寸法を控えておけば、現地で測るのは置き場のほうだけで済み、その場で入る/入らないが判断できます |
あると強いのはスリッパとモバイルバッテリーです。スリッパは空室によって用意がないこともありますし、モバイルバッテリーはこのチェックリストを使い倒すと地味に電池を消耗するので、複数件回る日は持っておくと安心です。
内見15分の時間配分
順番を決めずに見ると、気になった場所を行ったり来たりして、結局時間切れになります。僕がおすすめしている配分はこれです。表の中の【S】【A】【B】は項目の重要度で、このすぐ後の章で説明します。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0〜2分 | 玄関に入ったらまず窓を開けて第一印象を確認(におい・音) |
| 2〜7分 | 【S】契約NG級の項目をつぶす |
| 7〜12分 | 【A】【B】の項目の確認と、最低限の採寸3か所 |
| 12〜15分 | 共用部の確認と、営業担当への質問 |
最初に窓を開けるのには理由があります。人間の鼻と耳は、同じ環境に3分もいると慣れてしまいます。部屋に入って早々のにおいと音の第一印象がいちばん正確なので、他のことを見る前にまず窓を開けてしまうのがコツです。
採寸は「全部」やらなくていい
メジャーを持っていけと書いておいて矛盾するようですが、内見の15分で部屋じゅうを一か所ずつ丁寧に測っていく時間はありません。何件も回る日ならなおさらです。すみずみまできっちり測るのは、ほぼここに決めたという段階になってからで十分です。
とはいえ、初回の内見でこれだけは測っておいたほうがいい場所が3か所あります。あとから測り直せばいいでは済まない、お金が直接かかってくる箇所です。
| 測る場所 | 初回で測っておく理由 |
|---|---|
| 洗濯機置き場(防水パンの内寸) | 手持ちの洗濯機が入らないと買い替えで数万円です。数センチの差で決まるので、目測ではまず判断できません |
| 冷蔵庫置き場(幅・高さ・扉の向き) | こちらも入らなければ買い替えです。上に電子レンジを置く予定なら高さも一緒に控えておいてください |
| 玄関ドアと廊下の幅 | 部屋には置けるのに搬入経路を通らない、が実際に起きます。曲がり角がきついかどうかも見ておくと安心です |
逆に、カーテンの丈やベッドを置く壁の幅は、その物件が第一候補に残ってからで構いません。「ここに決めそうです」と伝えて、もう一度時間をとって測らせてもらってください。決めかけているお客様に対して嫌な顔をする営業はまずいませんし、僕らとしても、その一手間を惜しんだせいで入居後に後悔されるほうがつらいです。
【保存版】タップして使えるチェックリスト本体
ここからが本体です。場所別に7つのセクションに分けています。全項目に重要度をつけました。意味はこの3段階です。
| 重要度 | 意味 |
|---|---|
| 【S】契約NG級 | 入居後に自分では直せない、住み続ける限り苦しむ項目。1つでも×なら見送りも検討してください |
| 【A】交渉・判断材料 | 直せる、もしくは管理会社と条件交渉できる項目。申込前に必ず確認してください |
| 【B】工夫で解決 | 家具の配置やグッズで対処できる項目。どこまで妥協するかは自分で決めてよいところです |
フラットに項目を並べただけのチェックリストだと、全部同じ重みに見えてしまい、結局「なんとなく気になったところ」だけ覚えて終わってしまいます。重要度をつけているのは、限られた15分の中で優先順位を間違えないためです。【S】が1つでも△や×なら、他がどれだけ良くても一度立ち止まって考えてほしいというのが僕の本音です。この記事で【S】を付けたのは40項目中たった8つです。逆に言えば、その8つ以外は工夫や交渉でなんとかなります。
1. 玄関・廊下
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | 鍵の種類は防犯性に直結します。開閉が重いドアは毎日の出入りで小さなストレスになります | |
| B | チラシが大量にたまっている郵便受けは空室や管理放置のサインのことがあります。ロックがないと不要な投函物が溜まりやすく、重要な郵便物を見落とすリスクもあります | |
| B | 狭いと玄関に靴があふれます。来客が多い方は特にチェックしておくと後悔しません。季節ごとの靴を全部しまえるか、頭の中で実際に並べてみてください | |
| A | 廊下が狭いと、大型の冷蔵庫やベッドのフレームがそもそも部屋に入らないことがあります。搬入できないと引っ越し当日に発覚して手配し直しになり、余計な費用がかかります。曲がり角の多い間取りでは、廊下の幅だけでなく角の取り回しまで見ておいてください | |
| A | 宅配や訪問販売の応対を室内から確認できるかどうかで、日々の安心感がかなり変わります。特に一人暮らしの方は、ドアを開ける前に相手が見える環境かどうかを重視してください |
玄関周りは最初の30秒で通り過ぎてしまいがちですが、廊下の幅だけは絶対に見落とさないでください。冷蔵庫やソファが玄関から入らず、ベランダから吊り上げる特殊な搬入になって追加費用がかかった、という相談を受けたことがあります。
2. 居室:窓・壁・床
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | 南向きでも隣の建物が近いと日当たりは期待より弱くなります。方角だけで判断せず、実際に窓から見える景色まで確認してください。日当たりが弱い部屋は洗濯物が乾きにくく、除湿機や乾燥機の追加購入につながることもあります | |
| S | コンコンと軽い音がする壁は薄く、生活音が想像以上に伝わります。防音は入居後に自分で直せない項目の代表で、隣人トラブルの相談で最も多いのがこの音の問題です | |
| S | 床が傾いていると建物自体の歪みや経年劣化のサインのことがあります。家具がガタつく、扉が自然に開閉するなど日常のストレスにつながります。ペットボトルのキャップなど身近なものを転がすだけで簡単に確認できます | |
| S | 壁や窓枠の黒ずみは過去の結露やカビの跡です。断熱性が低い部屋は毎年同じことが起き、カビ対策グッズを買い続ける出費が発生します。喘息やアレルギーがある方は、健康面への影響まで考えて判断してください | |
| B | 建て付けが悪いと網戸が外れやすく、夏場に虫の侵入経路になります。開閉が重い窓は換気のたびにストレスになるので、実際に自分で開け閉めして確かめてください | |
| B | 正面に他の建物の窓がある場合、カーテンを開けられない生活になりがちです。開放感を求める方は特に見ておくべきポイントで、遮光カーテンを買い足す前提かどうかで初期費用も変わります |
壁の薄さと床の傾きは、住み始めてから自分でリフォームできる部分ではありません。内見のときに違和感があったら、その違和感を「気のせいかな」で流さずに、遠慮なく壁を叩いてみてください。
3. 居室:電気・通信
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | 足りない場合はタコ足配線が常態化しやすく、見た目もほこりもたまりやすくなります。家具の配置とセットで考えておくと安心です。特にベッド脇や机の周りに1つもないと、延長コードが常に必要になります | |
| B | 端子がない、または方式が古いとテレビが映らないことがあります。テレビを持ち込む予定の方は確認しておいてください | |
| A | 建物の構造によっては特定のキャリアだけ電波が弱いことがあります。契約前に自分の端末で必ず確認してください。鉄筋コンクリート造の低層階は特に電波が入りにくい傾向があります | |
| B | 照明が備え付けでない部屋は、自分で照明器具を買うところから始まります。想定していないと初期費用がかさみますし、引っ越し初日を暗い部屋で過ごすことにもなりかねません | |
| A | 容量が小さいと、電子レンジとドライヤーを同時に使っただけでブレーカーが落ちます。在宅ワークで機材を多く使う方は特に見ておいてください。容量アップは電力会社への申請が必要になることもあります | |
| A | 「回線無料」でも実際は遅い共有回線のことがあります。方式まで営業担当に確認しておくと入居後の後悔を防げます。在宅ワークやオンライン授業がある方は、速度の実態まで聞いておいてください |
電気と通信は在宅ワークをする方ほど死活問題になります。ブレーカーが落ちる部屋で仕事中のパソコンが強制終了した、という話も聞いたことがあるので、電子機器を多く使う方は容量まで確認しておいて損はありません。
4. 水回り
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| S | 水圧は建物の配管に左右されるため、入居後に自分で改善できません。シャワーの勢いが弱いと毎日のストレスになりますし、洗濯機の給水にも時間がかかるようになります | |
| A | 給湯器の位置や配管が長いと、お湯が出るまで待たされます。冬場の朝は特にこたえますし、その分の水道代も無駄になります | |
| S | 排水トラップの構造不良や配管の老朽化はにおいの元です。空室でにおう場合、入居後はさらに強くなることが多いです | |
| A | 手持ちの洗濯機が入らないと、買い替えで数万円の出費になります。防水パンの内寸を必ずメジャーで測ってください | |
| B | 風量が弱いと浴室が乾きにくく、カビの原因になります。音が大きい場合は夜間の使用がためらわれることもあるので、実際にスイッチを入れて確かめてください | |
| B | 身長に対してシャワーの位置が低いと使いづらさが残ります。ヘッドの高さ調整ができるかも見ておくとよいです。二人暮らし予定の方は身長差も踏まえて確認してください |
水回りは毎日必ず使う場所なので、小さな不満でも積み重なるとストレスが大きくなります。洗濯機置き場は、先ほど書いた「初回で測っておく3か所」の一つです。ここだけはメジャーを出すひと手間を惜しまないでください。
5. キッチン
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | IH対応の鍋がないまま入居すると、調理器具を一式買い直すことになります。手持ちの調理器具との相性は事前に確認しておくべきです。口数が1つしかないと自炊のたびに調理の順番待ちが発生します | |
| A | 幅が入っても、扉の開閉スペースが足りないと壁にぶつかります。寸法だけでなく開閉方向まで確認してください | |
| A | シンク下の変色や湿ったにおいは過去の水漏れのサインです。管理会社に修繕履歴を確認しておくと安心です。放置されている場合、入居後に再発するリスクも否定できません | |
| B | まな板を置くスペースがほぼないキッチンもあります。自炊の頻度が高い方は必ず見ておいてください。狭い場合はシンク上に置ける調理台などの購入も想定しておくと安心です |
6. 収納・ベランダ
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | 奥行きが浅いと収納できる量が想定より少なくなります。扉を開けたときにカビ臭がある場合は湿気がこもりやすい部屋のサインで、除湿剤をこまめに交換する手間が増えます | |
| B | パイプがないクローゼットだと、突っ張り棒などを別途用意する必要があります。高さが低いとロングコートの裾が床につくこともあるので、丈の長い服が多い方は特に確認してください | |
| S | 排水口が落ち葉やゴミで詰まっていると大雨のときに水があふれます。隔て板がない、または物が置かれていると、いざというときの避難経路が使えません。これは自分では動かせない設備なので、内見時点で必ず確認してください | |
| B | 日当たりが悪い向きだと洗濯物が乾きにくく、部屋干し前提の生活になります。奥行きが極端に狭いと布団を干せず、布団乾燥機など別の手段が必要になります | |
| A | ベランダの仕切りが薄い、または低いと、隣室との音や視線の距離が近くなります。喫煙者が隣にいる場合はにおいの影響も受けやすいです |
ベランダの避難経路は見落とされがちですが、隣の部屋との隔て板の前に自転車や物置が置かれている物件を実際に見たことがあります。管理会社に指摘すれば改善してもらえることもあるので、気になったらその場で聞いてみてください。
7. 共用部・周辺
| チェック項目 | 重要度 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| A | 収集日以外にゴミが放置されている、分別が守られていないなど、ゴミ置き場は住民のマナーがそのまま出る場所です。荒れている建物は、他の共用部のトラブルにもつながりやすい傾向があります | |
| B | 自転車を使う方は空き状況を必ず確認してください。満車の場合、別料金の駐輪場を探す手間と月々の費用が発生します | |
| A | 「騒音にご注意ください」「ゴミの分別を守ってください」といった注意喚起の貼り紙があれば、その建物で実際に起きたトラブルの手がかりになります | |
| B | 共用部の清掃頻度は管理会社の管理体制の目安になります。ゴミやほこりが放置されている建物は要注意です。管理が行き届いていないと、設備の故障対応も遅くなりがちです | |
| S | 駅から物件までの帰り道は、実際に自分の足で歩いて確認してください。街灯が少ない道は、入居後に毎晩通ることになります | |
| S | 内見時に静かでも、時間帯によっては車の走行音や店舗の排気音が気になることがあります。慣れるまで時間がかかるタイプの騒音は事前に把握しておきたいところです | |
| B | 地図上の距離と、信号や坂道を含めた体感距離は違います。実際に歩いてみると印象が変わることがよくあり、毎日の買い物のしやすさに直結します | |
| A | 防犯設備の有無は家賃だけでなく安心感にも直結します。特に一人暮らしの方は重視するポイントで、深夜の帰宅が多い方ほど体感の差が大きくなります |
周辺環境は部屋の中と違って、内見のわずかな時間では実感しにくい部分です。可能であれば内見のあと、駅からの帰り道だけでも実際に歩いてみることをおすすめします。地図で見るのと、自分の足で歩くのとでは体感がまったく違います。
ここまでで40項目。うち【S】はたった8つです。全部が○になる部屋はまず存在しません。大事なのは【S】をどれだけクリアできているか、という視点です。一つひとつは細かい項目に見えても、積み重なると生活の満足度に直結します。
ここまで見てきた項目の中で判断に迷う部屋があれば、内見前にLINEで相談していただければ、物件に合わせて特に見るべきポイントを先にお伝えします。
営業担当・管理会社に聞く質問台本
内見のときは部屋そのものに気を取られて、担当者に質問する時間がほとんど残らない方が多いです。でも、部屋の見た目だけではわからない情報は、担当者に直接聞くのがいちばん早い方法です。時間配分の最後の3分を、ぜひこの質問に使ってください。
| 質問 | 聞く理由 | 回答の見方 |
|---|---|---|
| 前の入居者はどれくらい住んでいましたか?退去理由は? | 短期での退去が続いている物件は、何かしら住みにくい理由がある可能性があります | 「わかりません」で終わる場合より、具体的な期間や理由を答えてくれる担当者のほうが情報量が多いです |
| この部屋、直近で何回入れ替わっていますか? | 入退去の頻度が高い部屋は、単なる偶然か、何か理由があるかの見極めが必要です | 即答が難しい質問なので、後日でも確認してもらえるか聞いてみてください |
| 音のクレームってこの建物で出たことありますか? | 防音性能を数値で聞くより、実際のトラブル有無のほうが生活実感に近い情報です | 個別のクレーム内容までは教えてもらえないことが多いですが、有無だけでも参考になります |
| 家賃やフリーレント、相談の余地はありますか? | 交渉できる条件があるかどうかは、聞かなければわからないままです | 即答できない場合は「持ち帰って確認します」という回答自体が交渉の余地ありのサインです |
| 傷や汚れは入居前に記録してもらえますか? | 入居前の状態を書面や写真で残しておくと、退去時の原状回復トラブルを防げます | 快く対応してくれる管理会社かどうかも、対応の丁寧さを見る材料になります |
| 鍵をなくしたときやトラブルの窓口はどこですか?(24時間か) | 入居後の緊急時対応がどこまでできる管理会社なのかを、契約前に把握しておきたいです | 窓口が明確ですぐ答えられる担当者は、管理体制が整っている可能性が高いです |
正直に言うと、答えを渋る、もしくは曖昧にする担当者もいます。それ自体も一つの情報として受け取ってください。誠実に答えてくれるかどうかは、契約後のやり取りのしやすさにもつながります。
質問攻めが申し訳ないと感じるかもしれませんが、担当者からすると具体的に質問してくれるお客様のほうがありがたい存在です。曖昧なまま契約して後でトラブルになるほうがお互いに負担が大きいので、遠慮せず聞いてください。
写真の撮り方
内見時に撮った写真は、単なる記録ではなく退去時のトラブルから自分を守る証拠になります。通常の使用でついた傷や汚れ(通常損耗)は、原則として借主が原状回復費用を負担しないという考え方が国交省のガイドラインに示されています。入居前の状態を残しておくことは、この考え方を実際に使うための備えです。
撮る前に「写真を撮ってもいいですか」と担当者に一声かけるのはマナーとして必ず行ってください。撮る順番はこの通りです。
- 建物入口の館銘板(建物名と住所がわかるもの)
- 玄関ドアと鍵の状態
- 各部屋を四隅から(部屋全体がわかるように)
- 気になる傷・汚れの接写+少し引いた位置からの2枚セット
- 電気・水道メーターと給湯器の型番
- ブレーカーの状態
- 共用部(廊下・ゴミ置き場・駐輪場など)
接写だけだと後で「どこの傷だったか」がわからなくなるので、必ず引きの写真とセットで撮っておいてください。
撮った写真は、日付がわかる状態でスマホのアルバムに残しておくと安心です。クラウドにバックアップしておけば、退去時に機種変更していても見返せます。この一手間が、数年後の原状回復トラブルで自分を助けてくれます。
時間帯・曜日で家は別の顔になる
内見できる日時は限られていることが多いですが、目的に応じてどの時間帯が向いているかを知っておくと、限られた回数でも精度が上がります。
| 目的 | おすすめの時間帯・曜日 |
|---|---|
| 帰宅動線と夜道の確認 | 平日夜(実際に自分が帰る時間帯に近い時間) |
| 隣人の生活音の確認 | 日曜昼(在宅率が高く、生活音が出やすい時間) |
| 繁華街近くの騒音ピーク確認 | 金曜夜(週末に向けて周辺の人出・音が増えやすい) |
| 湿気・水はけ・雨漏りの確認 | 雨の日(普段は見えない弱点が出やすいボーナス回) |
2回内見できるなら、昼と夜で1回ずつが現実的な落とし所です。1回しか都合がつかない場合は、自分の生活時間に近い時間帯を優先してください。日程調整の相談も、担当者に一言伝えれば柔軟に組んでもらえることが多いです。
「昼に見て静かだったのに、夜住んでみたら道路の音が気になる」という声は本当によく聞きます。内見の時間帯は自分でスケジュールを組む部分なので、ここを工夫するだけで見えてくる情報の量がかなり変わります。
夜型の生活の人は優先順位が逆になる
ここまでの内容は、朝起きて夜眠る生活を前提にしています。ただ、心斎橋・長堀橋エリアでお部屋を探しに来る方の中には、夜のお仕事で昼間に眠る生活の方も少なくありません。その場合、優先順位はそのまま当てはめられません。
たとえば「日当たり良好」は、昼職の人にとっては加点材料ですが、昼間に眠る人にとってはむしろ遮光カーテンが必須になる要素です。窓の向きを見るときも、日当たりの良さより遮光しやすい向きかどうかで判断したほうが実生活に合います。
騒音の重み付けも変わります。夜型の生活の方は、夜の静けさより昼間の静けさのほうが重要です。近くに学校や工事現場、幹線道路があると、昼間眠りたい時間帯にいちばん音が出ます。壁の厚み(【S】の項目です)は、夜型の方ほどシビアに見ておいてほしいポイントです。
実際に相談を受けていても、「日当たりが良い部屋を勧められたけど、自分には合わない気がする」と迷っている方に何人も会ってきました。そういうときは、一般的な人気条件をいったん脇に置いて、自分の生活リズムに素直に条件を当てはめ直すことをおすすめしています。夜職の方の部屋探しは、昼職向けの記事をそのまま参考にすると逆効果になることがあるので注意してください。
このあたりの部屋探しの考え方は、以前の記事でも詳しく書いています。あわせて読んでみてください。
複数物件で迷ったときの比較採点表
候補が複数あるときは、印象だけで決めずにこの表で並べて比較してみてください。
| 比較軸 | 物件A | 物件B | 物件C |
|---|---|---|---|
| 【S】8項目のクリア数 | |||
| 通勤・通学の利便性 | |||
| 家賃と初期費用の総額 | |||
| 周辺環境(騒音・治安・買い物) | |||
| 直感(住んでいる自分を想像できるか) |
最後の「直感」をあえて1軸入れているのは、条件だけで選んで直感的にしっくりこない部屋は、住み始めてからもなんとなく落ち着かないことが多いからです。毎日帰る場所ですから、条件と気持ちの両方に納得できる物件を選んでください。
物件を切り替えるときは、記事末尾のリセットボタンでチェックリストを白紙に戻してから、次の物件で使ってください。
比較表は空欄のまま印刷しておいて、内見のたびに手書きで埋めていくやり方でも構いません。頭の中だけで比較すると、あとから見た物件の印象が強く残って、最初に見た物件の良さを忘れてしまうことがよくあります。記録に残す、という一手間が冷静な判断につながります。
よくある質問
Q. 内見って何件くらい見るべきですか?
A. 目安は3〜5件です。あまり多く見すぎると印象が混ざって比較がしづらくなります。今回のチェックリストの結果を記録しておけば、あとで見返しても迷いにくくなります。逆に1件しか見ずに決めてしまうと、他の選択肢と比較できないまま契約することになるので、最低でも2〜3件は候補を持っておくことをおすすめします。
Q. 内見からどれくらいで返事すればいいですか?
A. 人気物件はその日のうちに他の方が申し込むこともあります。特に繁忙期(12月半ば〜3月中旬)は、その場で仮押さえの判断を求められることもある現実があります。迷う場合は、その場でNICEROOMにLINEで相談していただいても構いません。閑散期であれば数日検討する余裕があることも多いので、担当者に「いつまでに決めればよいか」を素直に聞いてみるのも一つの方法です。
Q. 内見なしで契約してもいいですか?
A. 遠方に住んでいる場合など、内見なしでの申込自体は珍しくありません。ただ、可能であればオンライン内見だけでも行い、担当者に室内を映してもらいながらこのチェックリストの項目を確認することをおすすめします。特にコンセントの位置や洗濯機置き場の寸法は、写真だけでは伝わりにくいので、通話しながら実測してもらうと安心です。
Q. メジャーを忘れたらどうすればいいですか?
A. スマホの計測アプリでも代用できますが、精度は落ちます。手のひらや歩幅など自分の体のサイズを基準(歩幅約70cmなど)にしておくと、大まかな目安にはなります。ただ、洗濯機置き場・冷蔵庫置き場・搬入経路の3か所は数センチの誤差がそのまま数万円になるので、その物件が候補に残ったら、後日メジャーを持って測らせてもらってください。再内見の調整は担当者に頼めばできます。
Q. 雨の日の内見は不利ですか?
A. 不利どころか、湿気・水はけ・雨漏りといった晴れの日には見えない弱点を確認できるチャンスです。日程が選べるなら、あえて雨の日に予定を入れる価値があります。
Q. 気になる点を見つけたら値引き交渉できますか?
A. 設備の不具合や傷など具体的な指摘があれば、交渉の材料になることはあります。ただし必ず通るというものではありません。気になる点があれば、遠慮せず担当者に伝えて相談してみてください。フリーレントや初期費用の相談も含めて、聞くだけならお金はかかりません。
チェックリストの結果を見ながら判断に迷ったときは、LINEで相談していただければ一緒に整理します。
まとめ
チェックリストはあくまで道具です。全部が○になる物件は存在しません。だからこそ、【S】の項目だけは譲らない、という軸を自分の中に持っておくことが大事だと思っています。妥協していい項目と、絶対に妥協してはいけない項目を分けて考えるだけで、部屋探し全体の納得感は大きく変わります。
次の内見では、このページをホーム画面に置いて、実際にタップしながら使ってみてください。
NICEROOMでは、内見に同行させていただくときは、このチェックリストと同じ視点で一緒に部屋を見ています。一人で見るのが不安な方、大阪・心斎橋エリアでの部屋探しを考えている方は、まずはLINEで気軽に相談してください。
このチェックリストを作りながら改めて感じたのは、内見の失敗のほとんどは「知らなかった」ことが原因だということです。特別な才能や勘がなくても、見るべきところを知ってさえいれば、10〜15分という短い時間でも十分な判断材料は集められます。
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